ああ監獄!2007年03月31日 00:00

 わたしが監獄の問題に眼をむけるようになったキッカケは、もう30年もまえのことになるんやけど、山谷で知り合った鈴木国男さんが大阪拘置所の保護房で殺される——という事件があって……それからやねん。
 彼は殺人未遂ということで逮捕され、その16日後に死体となってお母さんに引き合わせられるんやけど、このたった16日間で国男さんの体重は十何キロも減り、全身20箇所近くの打撲や挫傷のあとがはっきり残っていて、見るも無残な姿になっていたんや。
 わたしは、それで、はじめて、監獄という闇の世界の存在を知ったんや。そこではどんなことがおこっていても、外にはわからへん。獄中者のほとんどは、家族にも見捨てられてるから、酷いあつかいを受けても知らせる人もおれへん。世間は「犯罪者」が監獄で酷い目にあってても、それは自業自得、当然とさえ思ってる。
 今日、名古屋地裁で、名古屋刑務所のなかで起こった、看守による、囚人へのリンチ殺人が、「執行猶予」の判決やった。これやったら、まるで看守にリンチ権・殺人権を与えてやったようなもんやんか。いま、刑事被告は、ますます重罰化がすすみ、死刑の乱発や。それがどうや! 公務員の権力犯罪に対するこの温情!
 地獄の沙汰も金次第で出てくるひともおるけど、金もない、力もない、ないないづくしのわたしらにできることはなんや……なんにもないとしても、ただおとなしく黙って見てる、というわけにもいかんやんか。いま獄中には、わたしの知り合いが何人もいてるんや……。(風)