検閲と替え歌——いま、監獄は(その2)2007年03月16日 12:33

 最新の「救援」*に、宮城刑務所在監の丸岡修さんが「はっきり言って交通が拡大したことと、不服・苦情申立ての方法が少し改善された程度で、本質的には変らないどころか、悪化しています。締め付けは昨年から旧時代に逆戻りです」と書いてはった。
*http://kyuen.ld.infoseek.co.jp/
 「その国の人権程度は、監獄をみればよくわかる」——と昔からいわれてるけど、現在の監獄の様子をきくたびに、この国がどんなふうになっていくのかが先取りされていて、そこにはっきりと現れていると思う。獄中からの手紙の続きです。(風)

 新法施行によって、これからの監獄はずいぶんと開かれたものになるのでは、という期待で、手離しで喜んでいたのだけど、これが幻想だったと知る。月日が経つと徐々に囚人管理面での色々な締め付けが始ってきた。……
 たとえば、今迄は自分の所持金を使って書籍や本を購入したり差し入れしてもらうことは広範囲に認められていた。
 被収容者に関る事件の記載や管理運営上の不都合事項(だと官が考えている)の情報についてのみ閲読禁止のスミ塗りや切り取りの処置がなされて届く。一般書店で購入できる程度の過激さなら、風俗関係の書籍ですら殆ど閲読できた。
 ところが最近になって風俗雑誌や犯罪・事件裏情報の書籍などを購入した者が呼び出され、閲読禁止と廃棄を命じられる例が続出している。従来のような該当ページを抹消するのでなく、この種の有害図書(だと官は考えている)は丸ごとそっくり読んではならない、というやり方である。……しかし、この有害図書という概念が抽象的でいくらでも拡大解釈ができるということ。矯正を目的とする改善指導という名目だけで、検閲についての基準はなにも明示されてはいないのだ。
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 囚人管理で締付けがはじまってきたという例をもうひとつ。
 毎年恒例の「からおけのど自慢大会」があった。各工場を代表した十数名がのどを競い、優秀者が表彰される。
 工場対抗になっているので、どうしても声援や拍手で盛り上がりがちになるけど、今まではある程度までこれを容認していた。ここでは数少ないお祭行事のひとつなのだ。
 今年、出場者の一人が「港のヨーコ横浜横須賀」のリズムにのせて器用な替え歌を披露して、大いに会場の喝采をはくした。囚人の生活の悲哀をユーモアたっぷりに皮肉った内容は、少し過激な点があったとはいえ、たいしたもので、僕が審査員なら金賞をやりたい出来。
 ところが彼はその後すぐに取り調べに挙げられてしまい、15日間の軽屏禁懲罰に処せられた。15日間といえば重罪で、例えばケンカで相手にケガをさせてしまった場合に匹敵する。その彼の罪名が職員侮辱罪だと聞いて、ウーム……。

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