まるで日本中全部を敵にまわしたような安田好弘弁護士をわたしは断乎支持する!2007年05月26日 16:26

 光市事件の最高裁がはじまって、待ち構えてたとばかりに安田好弘弁護士に対するバッシングの大合唱や。「STOP THE KOIZUMI」なんてことを掲げてるブログですら、安田さんは「公共敵」と言われてるらしいわ。
 そして、あんなヤツは殺せ、殺してしまえの大合唱……
 この異常さは、いったいなんなんや。

 「一寸の虫五分の魂」とは誰でも知ってる昔からの諺やけど、どんなに悪いことをした者でも、弁護権いうのがある。弁護士なしでは裁判は成立せんいうことになってるはずや。そやから、弁護士が「殺人犯」を弁護して何の不思議があろうか? 弁護士としてあたりまえのことをしてるだけやんか。
 引き受けたからには、事件全体をもう一度はじめから洗い直し(といっても警察が証拠の全部をにぎってるから、洗い直すいうてもそれは大変な作業なんや)、ほんまのところはどうやったんか、なんでそういうことをしてしまったんか、具体的な事実を積み上げて、検討して、ちょっとでも「犯人」にとって弁護できる材料を探しだしてこそ弁護人やろ。(そして、警察の捏造ともいえる事実がたくさんでてきてるんや。)
 安田さんは、弁護士という職業を選んだものとしてあたりまえの仕事をきっちりこなそうとしてはるだけやんか。
 そやけど、この国では、このあたりまえの仕事をする、という弁護士がどれほどおるやろか。刑事事件の弁護は、勝ち目はないし、ほとんど儲からん。国選でまわってきたから仕方なしに引き受けてる、という状況やろ。弁護士という肩書きをもっていても、儲かる民事専門で、実際に刑事事件を担当したことない弁護士いうのが全体の7割というんやから……。

 昨日、テレビで安田さんらは死刑廃止運動の宣伝のために、この事件をつかってる、みたいなことをしゃべってたけど、なにしろ「死刑廃止」というのが眼の敵なんやな。
 まあ、被害者の家族が犯人を「殺したい」というのはそりゃ当然な気持やと思う。それと全く同じで、「犯人」であっても、いま生きてる人間を「殺さないで」という気持をいだくのも、また人間として、あたりまえの感情とちがうやろか。近ければ近いほどその思いを強くもつにちがいない。
 安田さんは「死刑廃止」を信念としてもってはるし、いま「犯人」と一番近くにいるひととして、死刑廃止を訴えるのは当然やんか。マスコミがいうような卑しい心持からであるはずがない。被害者の夫には、誰が考えても充分同情されて当然な立場やから、日本中から同情が寄せられてる。そんななかで「殺人犯」の側に身をおくいうのは、弁護士しかおれへん。
 その、いうたら、いま絶対的に弱い立場の「囚われの身の犯人」と「弁護士」を日本中の全体でよってたかってたたくいう状況は、わたしには異常としか思えない。まるで戦時中の非国民に対する罵声に似てる。一人の「凶暴」といわれる「少年殺人犯」と、テレビという公共物を使い、「殺せ!殺せ!」を煽動するマスコミ、匿名で安田さんを「公共敵」といいつのる卑劣さと、いったいどっちが「凶暴」なんやろな。
 わたしは断乎、安田さんを支持するで。
 それにしても、こんなに光市事件の殺人を憎むひとたちが、イラクやアフガンの戦争で毎日起こっている殺人の元凶であるブッシュや、その支持者の小泉や安倍に、なんでこんなにも寛容なんやろ。わたしにはわからへんわ。(風)

コメント

トラックバック