わたしはエイリアン?2007年01月19日 18:53

 Oさんは隣の町内ですぐ近所のひと。40代初めかな。朝わたしが神社に猫のウンチをとりにいく途中、犬の散歩をさせてる彼女とよく顔をあわせる。いつも明るくてさっぱりした感じのOさんに、わたしはなんとなく好感をもってた。といって「おはようございます」という挨拶以上のことばをかわしたことはなかったんや。
 でも「おさきまっくろ」をつくったので、Oさんに渡した。そしたら「奥さん、まえに新聞に載ってたでしょう」っていうんや。もう3年まえになるけど、小牧の自衛隊官舎にビラいれにいったことが、朝日の地方版に大きくのったんやけど、その記事と「おさきまっくろ」が結びついて、思い出したんやな。
 「読ませてもらいますよ」といってくれて、次の日会った時もまえと同じように変らん態度やった。それで、No.2も渡した。そしてそれからはだんだん、ちょっとした話をするようになって、昨日は彼女に誘われてヨガに行ってきたんや。
 会場は、歩いて10分もしないお城のすぐそばの武道館。初めは寒いからいうことで、音楽にあわせてリズム体操。サウンドデモでもすぐ踊ったりしたから、もともとわたしは体を動かすのが好きなんや。でもこの何十年、体操なんてしたことないからもう足はもつれるわ、内股は張り裂けそうやしえらいことやった。でも2時間びっちり汗をかいたら、すごく爽快で楽しかったぁ。それでわたしも毎週いくことにしたんや。月謝は月2,000円。

 その楽しい気分のままお昼を食べに「ふう」にいった。「今日はどうしたの、いやに元気そうやん」なんてまりこさんにいわれて「ヨガにいってきたんや」いうておしゃべりしてたら、Aさんが店に入ってきた。「あっ」とおもったけど、いつものように「こんにちは」いうて声をかけた。ところが、Aさんはプイと横を向いて返事もしてくれない。それでも「今日はあったかいね」いうと「そう、寒いけど」いうてケンもホロロや。それ以上はわたしもことばがでてこん。で、食べ終わってたし、そうそうに店を出て、買物にいったんやけど……。
 これまで、Aさんはスーパーで出会ったりしても、向うからニコニコ挨拶しはるし、特に話をしたことないのに「家に遊びにいってもいい?」なんて云ってきたり、まあ、「ふう」での顔なじみや。それが「死刑廃止」を口にしたとたん、一気にこれや。「あんなヒドイ犯罪者の味方をするなんていったいどういうつもりなの……」「そんなひととは口もききたくない。生理的に我慢できない」というわけやろな。
 それにしても、なにがああまでひとをこわばらせてしまうんやろか。もちろんそれはまず、極悪人の味方みたいな口をきく(と思ったやろ)わたしへの嫌悪感やろ。でもそれだけやろか? Aさん自身は無自覚・無意識であるにせよ、わたしらの「死刑廃止」が本質にもっている、国・権力いうもんに対する絶対的な懐疑が、いうたら異端的な立場が、彼女の反感・拒絶感をひどく刺激してしまうんやないやろか。
 あんたとわたしとでは住む世界が違うんや、もう声なんかかけんといて——とまるでエイリアンのごとく嫌われてしまったというわけや。
 こういうことははじめてやないけど……と自転車をこぎながらブツブツと思ったんやった。(風)

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